【Readingセクション】
TOEFL Readingセクションでは、「アカデミック」な長文読解が3つないしは4つ出題されます。それぞれの大問に小問が10個ある形式になっており、パッセージ(大問ごとの文章)1つあたり18分で、全部で54分または72分与えられます。(54分の場合はダミー問題がない場合、72分の場合は大問4つ中どれか1つがダミー問題になっている場合です。)
Q.アカデミックな文章ってどんな文章?
TOEFLでは、単に読解力だけでなく一般常識や教養があることで有利になる場合があります。もちろん前提知識がないと解けないような問題はありませんし、全受験者に平等な長文と設問が設定されていますが、時には豆知識的なものがあると有利になることも。
「アカデミック」の名の通り、学術的な文章や時事的な記事が出題されることが多くあります。例えば学問系で言うと社会学(人間の行動パターンの調査結果など)や政治学(昔と今の投票率の差など)や歴史学(古代の遺跡における文明開花の話など)が挙げられます。
ニュース記事系では新たな恐竜の化石の発見(歴史的・自然科学的文章)や若者のスマホ依存、最近で言えば新型コロナウイルスに関する文章なども出題される可能性があります。
(上記は筆者の経験に基づく出題内容に関する予測であり、実際の出題内容とは異なる場合があります。)
上記で、Academic Readingに関しての大まかなイメージは掴めたと思います。では、これらの文章を制限時間内に攻略するためにはどのような対策をすれば良いのでしょうか。TOEFLで自己ベストスコアを取得するため、高得点を狙うために、どのような戦略を立てていけば良いのかを、以下で解説していきます。
Academic Readingに打ち勝て!TOEFL Reading攻略方法
⓵Academic Reading に慣れよう!
日常生活の中でAcademic Readingを読む機会はかなり少ないと思います。新聞記事などを読む人口は年々減っており、スマートフォンでも活字で文字をしっかりと読んでいる人はなかなか目にしません。まして、それを英語で読むなどかなり珍しいことではないでしょうか。
TOEFL Readingで大切なのは、Academicな内容を難なく読めて且つ要点を理解できるという「情報処理能力」です。これを鍛えるには場数を踏むしかありません。
例えば一日1本は英語の記事を読んでみたり(活字)、YouTubeなどで英語圏のニュース映像を流しながら通勤・通学したり、Podcastなどで学術的な内容を探して聞いてみたりするなど(音声媒体でのアカデミック文章トレーニング)、自身で工夫して英語のアカデミックな文章に触れるトレーニングをしていきましょう。
初めから英語で読むことに抵抗がある人はとりあえず日本語のニュース記事や学問関係のブログなどを読み始めるのでもGood!
※次のListeningセクションでも説明いたしますが、Academic Readingのトレーニングはリスニング力のトレーニングでもあります!一石二鳥なので是非行ってみましょう!
⓶Academic Reading の速読トレーニングをしよう!
アカデミックな内容を読んだり聞いたりすることに慣れたら、今度は活字をいかに早く読んで内容を理解するかのトレーニングが必要です。ここでは「速読トレーニング」と称していますが、そんなに早く読めなくても大丈夫です。早いよりも、時間配分のやり方と意識、そしていかに一回読んだだけで内容をしっかり理解するかが鍵になってきます。(筆者は速読がとても苦手でした…💦)
では、どのように「速読力」と「瞬発的内容理解力」を鍛えるのでしょうか。それはズバリ、「内容要約トレーニング」です!「要約」と聞いて喜ぶ人はいませんが、ここで言いたいのはいわゆる要約とは少し違います。
「要約」とはGoogleのデフィニションによると
《名・ス他》論旨・要点を短くまとめて表すこと。また、そう言い表したもの だそうです。この文にあるように、「言い表す」ことができれば良いので、筆者のおすすめとしては以下のような練習方法があります。
要約トレーニング方法
⓵要点の箇条書き法(一石二鳥:Writing):筆者の言いたいことを箇条書きにしてまとめていく方法。普段のメモ書きに近いが、要点をしっかり抑えることを意識。
⓶要点の発声法(一石二鳥:Speaking):上記の発声バージョンで、要点をまとめながら話すことでSpeaking問題の対策にもなる。(Speakingでは文章を読み要約して話す問題や、聞いた長い内容を端的にまとめて話す問題が出題されるため。)
これらの方法では、Academic Readingの内容理解のための要約力を鍛えることができます。文章の主旨はもちろんのこと、文章の中で引用されている箇所や筆者の主張などの細部までしっかりと捉えられるよう意識しながら読み、書いていく・発声していく必要があります。
アカデミックな文章では、筆者の主張をそのままダイレクトに書いてあることもありますが、TOEFLレベルまでいくとそんなにわかりやすく筆者の意見を教えてくれる文章はまずないと思っておいた方が得策です。(筆者の意見がちゃんと書いてあればラッキー、くらいの気持ちで!)
代わりにTOEFLでは
回りくどい方法で筆者の主張を小分けにして表現していることが多くあります。TOEFLで出題される文章の全体の構成として、第一段落でIntroduction(文章自体がどのような主旨であるか、何についてのAcademic文章なのかの説明)、次にBody①(本旨①:筆者の意見や研究結果の共有の1つ目)とBody②(とBody③:文章の長さによる)が来て、最後にConclusion(結論、まとめ)が来ることが多くあります。(例外も多数あり。)
この中で、筆者の意見がダイレクトに書いてあることはあまり多くありません。ではどのように筆者の主張を読み取れば良いのでしょうか。
PointⅠ:Rhetorical question (読者への投げかけ・問題提起)に着目!
TOEFLのアカデミックリーディングでは、時に読者への投げかけのような、いわゆる「問題提起」が登場します。問題提起がされている=「あなたにも考えてみてほしい」・「自分はこの議題について議論したいのだ」という、筆者の意思表示と言えます。
そのため、疑問系の文章が出てきたら注目です。また、疑問系の文章を見つけた場合、その文章で言われている内容に対しての反対意見を筆者は主張していることが多くあります。
(パラグラフ(段落)の単なる導入として疑問系が用いられている文章もあり、必ずしも「疑問系=筆者の意図」とも限らないので、注意が必要です。)
PointⅡ:逆接詞に注意!
筆者の意見がダイレクトに書かれていることは珍しいTOEFLリーディングですが、時には大きなヒントを出してくれていることがあります。それが「逆接」です。
逆接はHowever(しかしながら), Although(〜ではあるけれども), On the other hand(それとは反対に・一方で), Despite(〜とは言え、〜ではあるが), Some may…but others(一部の人は〜かもしれないが、他では), Another…(もう一つとしては・これとは別に)などがあります。
文章中でこのような単語に出会った場合はその後に筆者の意見や主題に対する新たな見解や反駁・反論が来る可能性が高いため、マークしておくと良いでしょう。
※PointⅢ:そもそも筆者の意見などない場合
文章の中には、一般論をツラツラと並べて論じているだけで、筆者張本人の意見など存在しない、という場合もあるので注意が必要です。この場合は例えば以下のサイトの文章のように、ただ古代文明の話をしているなど、事実や一般論のみ唱えている場合も多くあります。
豆知識:「TOEFL prep」や「TOEFL例題」などと検索すると上記のように無料で例題を出してくれているサイトが出てきますので、問題演習をする際にはおすすめです。)
このような場合には、単なる事実をインプットしていく作業になるため、筆者の意見を探す代わりにどの場所になんの事実が書いてあったかを把握することを意識する必要があります。
上記3つのポイントで重要なのは、文章のどこに何が書いてあったかを適宜チェックし、記憶しながら進めていくことです。ですので、文章中にしっかりマークを施したり自分で余白に簡単なメモを残したりして進めていきましょう…
…!?
と、普通学校の先生ならそう言うだろうと思いますが、そううまくはいかないのが、TOEFLの難点なのです。
TOEFLはパソコン上で文章を読まなくてはならないため、物理的にマークはできないのが本当に厄介ですよね。TOEFLをはじめ、オンラインで受ける形式の試験では、全体の大まかな流れを意識しながら確実に内容を把握していく必要があります。
筆者が導入(Introduction)で何の議論を始めようとしているのか、内容のメインパート(Body)での主張(複数個)は何か、そして結論・まとめ(Conclusion)はどのようなものか、頭にインプットしながら読んでいく必要があります。そして実際に10問の問いを解く際、「あっ、この話はあそこに書いてあったな…」と思い出し、文章中で該当箇所を見つけ、正しい答えをマークしていくのです。
つまりは、
TOEFL Readingで肝心なのは、確実なインプットと素早いアウトプットであると言えるでしょう。
インプットとアウトプットの訓練にはさまざまな方法があります。まずはそれぞれがどのようなものなのかを理解しましょう。
【インプット】=何かを脳内に入れていく作業
・インターネットなどで情報を収集する
・暗記作業(単語・漢字・方程式などの丸暗記)
・授業を聞く
【アウトプット】=脳内の情報を外に発信していく作業
・覚えた内容のテストを受ける(書き起こす)
・授業の内容をノートにまとめる
・習ったことを人に伝える
よく「人に説明できるようになって初めて『学んだ』と言える」といったことを聞きませんか?この言葉にあるように、自分で脳内に情報をしっかり保存し、それを正確に外に発信することができて初めて、理解したと言えます。
TOEFL Readingでも同じようなスキルが必要ではないでしょうか。Reading passageの内容がなんであったか、どの部分に何が書いてあったか、そしてそれは問いの選択肢の4つの文章のどれと一致しているのか。これらを記憶し判断していく必要があります。
インプットとアウトプットを鍛える方法
インプットの機会は日常に結構あります。朝何気無く見ていたニュース番組で面白い内容があったり、通勤時間にスマートフォンで記事のピックアップに目を通したり、などなど。インプットしたものをアウトプットするとなると、今度は人に話したりメモに書き出したりと、思い出す手間と、説明する時間のかかる作業になってきます。
TOEFL対策としても、一般に学習能力を鍛える目的でも、おすすめなのは「ひとりごと」と「場所把握トレーニング」です。一つ一つ説明していきます。
「ひとりごと」では、上記の⓶要点の発声法と同様で、簡単な要約と一時的な記憶の反復の能力を鍛えることができます。
例えば朝のニュース番組でコロナウイルスの特集を行っていたとします。
それを目にして、情報が頭にある程度入ったら、数分後に自分でニュース特集の内容の反復をしてみてください。事細かに覚えておく必要はないので、要点だけ抑え、先述の「要約」トレーニングとして行ってみることが大切です。
「さっきのニュースで、〇〇大学の研究者が□□っていう株について調べたら〜〜がわかったらしい。日本人は△△な傾向にあるから注意が必要らしい。」と、口パクでも脳内再生でも構いませんので、ちょっとした時間に記憶の反復練習として呟いてみましょう。実際に日記のようにメモに書き下ろしても良い記録になるため、おすすめです。
ニュース番組の内容でも、ニュース記事でも、自分が好きなスポーツについての記事でも、ちょっとしたコラムでも、内容はなんでもOK!初めのうちは短めの文章で、ササッとこなし、回数を重ねていきましょう。自分が手軽に取り組めるな、と思える内容で練習してみましょう。
次に
「場所把握トレーニング」です。
こちらのトレーニングはこちらのトレーニングは主に長めの文章で行っていくものになります。例えばまだ知られていない医療の新たな研究についての文章をネット記事で見つけたとします。ニュース記事よりも細かい情報が書かれていることが特徴です。
どこどこ大学の何とか研究室の〇〇教授が20XX年から20YY年まで研究を行った・A細胞とB細胞の構成が〜〜である・この最新医療を利用して20ZZ年までに□万人救えるようになる・将来的に世界中で使うことができ、来年から本格使用が開始する、など… 様々な情報があるため、これらを先述の「ひとりごと」方法で反復練習するのはかなり困難です。
そこで、「場所把握トレーニング」では主に空間記憶などの能力を使っていきます。
Q.みなさんにはこんな体験、ありませんか?
新聞記事や本や教科書で、ある言葉や内容が印象に残ったとします。ページ数を見ないで一旦それを閉じ、少し経ってからもう一度さっきのページに戻ろうとしたら「あれ?さっきのページ消えた??」と…。こういう時って、どれだけ隈なく探しても見つからないものですよね…。
もしこのような事態がTOEFL Readingで起きたらどうしますか?!それはもう、緊急事態ですよね。そうならないために、「場所把握トレーニング」を試してみてはいかがでしょうか。
このトレーニングで必要なのは
要約スキルと空間記憶です。要約は言うまでもなく、書いてある内容を大まかにインプットしておくことです。次に空間記憶が鍵で、文章のどの場所に何が書いてあったかを把握する、ということになります。上記の例では本や教科書とありますが、TOEFL Readingは幸いパソコンの画面に収まる分量ですので、せいぜい1回スクロールすると全体を俯瞰することができます。
普段読んでいるニュース記事でも良いので、少し長めの内容の濃いものを選んで読み、内容を理解すると同時に「第二段落に相手側の反対意見」「結論の少し上に研究者の発表」など、場所の記憶をしていくことがポイントです。
場所記憶ができたら一旦読んでいるものをと閉じ、数分経ってから自分で記憶チェックをしてみましょう。この時、頭の中に要約がリストアップされている必要があるため、その時点で要約とアウトプットのトレーニングにもなっています。
頭の中にある「あの辺にこれが書いてあった」リストを一つ一つ確かめ、確かにその位置に記憶してあった内容が書いてあれば、タスク成功です。しっかり場所記憶ができていたと言えるでしょう。もしも場所がズレていたり探すのに手間取ってしまったりした場合は、TOEFL本番でもReading passageで迷子になってしまう可能性が高いので、時々「場所把握トレーニング」トレーニングを行い、日頃から場所の記憶を活性化させておきましょう!
上記にあるAcademic Readingに打ち勝て!TOEFL Reading攻略方法 をはじめ、「ひとりごと」トレーニングと「場所把握トレーニング」などの要約・インプット・アウトプット力を鍛える方法は他のサイトなどでも様々なものが紹介されていますので、自分に合った方法を見つけ、TOEFL対策としてアレンジして取り入れてみると良いでしょう。
いきなり長文を読んで混乱したりパソコン上にマークできないのを嘆いたりする前に、まずはササッと記事を読んで内容理解と場所記憶ができるよう、日頃から上記のような方法で、時々トレーニングしてみることをおすすめします!
また、これらのトレーニングをする場合、できればパソコン上で行うのをおすすめします。筆者は個人的に、1時間以上もパソコンの画面に映る細かい英字に目を凝らし続けるということに苦戦した経験があります。TOEFLでは物理的に紙を触りながら大事なところに線を引いたり印をつけたりすることが許されないため、慣れていない人にはそもそもパソコンでの試験に慣れるための練習が必要になってくると思われます。
スマートフォンでテキストを打ったりすることでデジタルな文字に見慣れている人でも、いざパソコンとなると目が眩むような感覚になることもあります。ですので、普段の読解トレーニングや模擬試験実践の際には、できる限り本番に近い形で、パソコン上で行うことをおすすめします。